東京・九段下の「昭和館」にて開催中の特別企画展「時代をまとう女性たち」を観てきました。
昭和の世相とともに移り変わっていった女性の服装を中心に紹介されています。
昭和館は、戦中・戦後の国民生活の労苦を次世代に伝える国立の施設です。
所在地 東京都千代田区九段南1丁目6−1
(地下鉄「九段下」駅4出口から徒歩1分)
「時代をまとう女性たち」の会期は、令和5(2023)年3月11日(土)~5月7日(日)。
(休館日:毎週月曜日。5月1日は開館)。
観覧無料。
なお、当企画展の開館時間は
・10時~13時30分(入館は13時まで)
・14時~17時30分(入館は17時まで)、となっています。
※13時30分~14時は、館内清掃のため入館できません。
では、特に印象に残ったことなどをメモ。
特別企画展の会場は昭和館3Fの一画。
広すぎることはないですが、ゆったりと、マイペースでじっくり観るにはちょうど良い
規模。
はじめて知ったこともたくさんあり、とても興味深い内容でした。
まずは開国後、洋装が上流階級の服装であって、大正期に徐々に社会的にも需要が高まっていく流れが紹介されています。
大正の頃は、家庭では和装、職場では洋装といったスタイルの女性がたくさんいたそうです。
・・・今どきの感覚(?)からしたら、むしろ和装が特別の場所での服装、という感じでは。時代ダ!
そして戦時下になると、国民の日常生活にもあらゆる統制が及ぶようになっていって、衣料品も例外ではありません。
衣類の原材料不足を補うために登場した「ステープルファイバー」(スフ)の展示がありました。
スフはパルプが原料で、破れやすく、熱に弱い性質とのこと。
粗悪品というイメージを払しょくするために企業などが作成したパンフレット、スフの補強度を高めるための薬剤(瓶)、スフ製の学童服やハンドバッグなどが展示されていました。
・・・スフ製の服って肌触りは実際のところどうだったのだろう?と気になりました。 着心地の良さを求める余裕はなかったかもですが、敏感肌の方とかは大丈夫だったのかなあと・・・
昭和20(1945)年の終戦を迎えても、物資不足が続きました。復興資金調達を目的に開催された宝くじの宣伝ポスター(「第一回静岡県復興宝籤」)。特賞に衣類の生地や純綿地がありました。
・・・布がとても貴重だったことが伝わってくる事例です。
戦後、夫の代わりに一家の大黒柱として洋裁で生計をたてる戦没者妻を中心に、洋裁学校へ駆け込む女性が増加。ドレスメーカー女学院が戦後初めて入学願書を受け付けた当日の様子の写真では、入学希望者が長蛇の列をなしています。千数百名が集い、最寄りの目黒駅まで列が伸びていたとのことです。
洋裁学校の卒業生たちが地元で洋裁学校を開校する例もあったそうで、学校数が飛躍的に増加したそうです。たとえば「文化服装学院連鎖校公認」というふうに記された生徒募集の案内も展示されてました。
・・・「連鎖」という表現が印象的ですね。
ところで、このころ増加した洋裁学校って、今はどれぐらい残っているのだろう・・・
知り合いの先輩たちのなかには(女性。70~80代ぐらいの方々かなあ)学校で洋裁を専門にされていた方が結構いるかもという印象なのですが、
かつての洋裁ブームの流れからきているのかも・・・ですネ。
今回の展示のメインだった、まだ服が大量生産かつ手頃価格で販売される前の時代。そのころと現在を比べると、本当に状況か変わってしまったなあ、ですよネ。
現在でも、時間に余裕があるのなら、手持ちの服をリメイクしたり服をイチから作ったほうが安く済むかもですが、
大体の場合は買ってしまったほうが、金銭的・時間的な面で所謂コスパが良いでしょう。
なんだかんだ言って、安い価格帯のお店の服でも、丈夫だったりしますし。
そのような状況よいことなのか、どうなのか。見方は様々でしょう。
服をイチから作れることは楽しいし、良いスキルだと思うけど、ぜったいに作らなきゃならない、となると大変。かなり時間と手間がかかります。お金も。
買うにせよ、作るにせよ、とにかく服を一着一着大切に扱ったほうがいい、というのはきっと間違いじゃないですよネ。
企画展では、戦中・戦後の衣類の実物展示もあります。
なお、戦後、ララ物資として提供されたアメリカ製の婦人用オーバーもありましたが・・・・・・びっくりするほど大きい(;'∀') 現在でも、ぴったり合う日本人は限られそうなほど。
援助物資の衣類は上質なものが多かったけど、同時に日本人の体格には合わない大きいものが多かったそうで、自分でサイズ調整する必要があったそうです。
また、洋裁学校卒業後、洋裁を生業にしていた女性が制作したワンピースも展示されてました。昭和24(1949)年以前のもので、着物を更生した一品とのこと。
・・・縫い目が美しかったです。薄そうな生地だったので、やはり縫うのは気を遣ったのかなあ、と想像したり。スカート部分のプリーツ(タック?)がイイナー(*´▽`*)て思いました。私もプリーツスカート、作りたくなりました。
展示資料では着物地をもとにして作られた衣類がいくつかあります。
着物地って魅力的なものが多いですし、使う材料として、着物地以外の生地(手芸店で販売されている新品の生地など)をそんなにくっきり分けて考える必要ないよナ~、と改めて思いました。着物リメイク本って通常の洋裁本とは別で販売されてはいますが。
クリアファイルのイラストは、「この世界の片隅に」で知られる、漫画家・こうの史代氏によるもの。
ポストカードも買いました。
昭和館の所蔵資料をポストカードにされているのだと思われます。何種類かあってそのうちの一つ。
コチラは今回の企画展にも登場した「衣料切符」。
昭和館は常設展示室(7・6階)のみ有料(65歳以上270円、大人300円、高校・大学生150円、小・中学生無料 ※最新情報・詳細は昭和館HPでご確認ください)。
昭和10年頃~昭和30年ごろまでの国民生活上の労苦を伝える実物資料を展示。
とても重たい時代を扱っていますが、生活用具の実物展示は、視覚的に把握しやすいです。観てよかったです。ツレにも勧めました。
なお、展示されていた裁縫箱が、まさに、私がこないだリサイクルショップで買ったものとすごく似ている構造でした(裁縫箱とは気づいてなかったです)。
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